ASUSの最新ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8 Pro」をレビュー用にお借りして2週間ほど試用させていただきました。
Snapdragon 8 Gen 3を搭載し、様々なゲーム向け機能を搭載したハイスペックなゲーミングスマートフォンというコンセプトは継承しつつ、ワイヤレス充電やおサイフケータイの対応など、普段使いに役立つ機能もプラスされました。
短い試用期間ではありますが、実際にROG Phone 8 Proを使ってみて感じた良かったところ、イマイチだったところをレビューしていきます。
目次(見たいところからチェック!)
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ROG Phone 8 Proの概要
ROG Phone 8シリーズはASUSのゲーミングスマートフォンシリーズの2024年最新作です。ハイエンドSoCのSnapdragon 8 Gen 3を搭載し、AirTriggerやモーションコントローラー、そして強力な冷却システムといったゲーム向けの機能が揃っています。
ROG Phone 8とROG Phone 8 Pro、そしてROG Phone 8 Pro Editionの3つのモデルがあります。今回お借りしたのはRAM 16GB、ストレージ512GBの「ROG Phone 8 Pro」です。
開封と外観
ROG Phone 8 Proの箱はこれまでのシリーズと同様にかなり大きいです。
宝箱のようにパカッと開けると中にROG Phone 8 Proがあります。上下の他のスペースにアクセサリ類も入ってます。
本体のほかはケースとACアダプタ、USBケーブル、SIMピン、マニュアル類です。箱の大きさの割には中身が少ないような気がしないでもないです』。
最初に電源を入れると、この箱を使ったチュートリアルゲームのようなものが始まります。
ゲームで使える機能やAniMe Visionの紹介のような内容です。
いきなり始まるので、最初はちょっと戸惑うかもしれませんね。
端末の上側面には特になにもなく、下側面にUSBポート、SIMスロット、スピーカー、イヤホンジャックが固まっています。
右側面側に電源ボタンと音量ボタン。
左側面側にはもう一つのUSBポートがあります。2つのUSBポートはどちらでも充電可能。こちらはスマホを横向きにしたときに下になるので、充電しながらゲームするときはこちらが邪魔にならなくて便利です。
背面のデザインはこれまでのものから大きく変わりました。斜めのラインこそ残っていますが、全体的に大人しくなってゲーミングスマホっぽさはなくなってしまった感があります。
ROG Phone 8シリーズの中でも無印とProでは背面が違い、Proはサラサラしてて触っていて気持ちいいですね。
なお、ROG Phone 8 / 8 ProはROG Phone 7と比べるとディスプレイサイズは変わらないのに17%小さく、15%薄く、9%軽くなっています。
ROG Phone 7 | ROG Phone 8 | |
---|---|---|
サイズ | 173x77x10.3 mm | 163.8×76.8×8.9 mm |
質量 | 239g | 225g |
スペックとパフォーマンス
ROG Phone 8 Proの主なスペックは以下の通り。
OS | Android 14 (ROG UI) |
---|---|
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 |
RAM | 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 512GB (UFS 4.0) |
ディスプレイ | 6.78インチ 2400×1080 (FHD+) AMOLED リフレッシュレート1~120Hz、最大165Hz |
メインカメラ | 5,000万画素 広角カメラ (35mm換算:23.8mm相当/F値1.9) 1,300万画素 超広角カメラ (35mm換算:12.7mm相当/F値2.2) 3,200万画素 望遠カメラ (35mm換算:65.3mm相当/F値2.4) |
フロントカメラ | 3,200万画素カメラ (35mm換算:22mm相当/F値2.05) |
バッテリー | 5,500mAh(2,750mAh×2基) 最大65W、Qiワイヤレス充電(最大15W) |
サイズ | 約163.8 × 76.8 × 8.9 mm |
重量 | 225g |
生体認証 | 指紋(画面内)、顔 |
防水防塵 | IP65/IP68 |
SIM | nanoSIM×2 |
対応バンド | 5G NR: n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n18/n20/n25/n26/n28/n38/n40/n41/n48/n66/n77/n78/n79 FDD-LTE: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B25/B26/B28/B32/B66 TD-LTE: B34/B38/B39/B40/B41/B42/B43/B48 キャリアアグリゲーション: 7CA(DL)/2CA(UL) 対応 W-CDMA: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19 GSM/EDGE: 850/900/1,800/1,900MHz |
主な付属品 | USB ACアダプタセット、SIMピン、クリアケース、マニュアル類 |
その他 | イヤホンジャック、おサイフケータイ |
より詳しいスペックは公式サイトをご覧ください。
ベンチマーク
ROG Phoneシリーズにはパフォーマンス優先の「Xモード」があります。このXモードをオンにしたときとオフのときでそれぞれベンチマークアプリを使いました。
Xモード オン
AnTuTu Benchmark(v10.2.5)は2,199,263点、Geekbench 6がシングルで2,299点、マルチで7,172点、GPUは14,555点、3DmarkはWILD LIFE Extremeで5,234点、Solar Bayで8,719点、PCMarkのWork 3.0 performanceは22,804点でした。
Xモード オフ
AnTuTu Benchmark(v10.2.5)は1,1728,920点、Geekbench 6がシングルで1,316点、マルチで6,474点、GPUは14,300点、3DmarkはWILD LIFE Extremeで4,492点、Solar Bayで8,098点、PCMarkのWork 3.0 performanceは14,206点でした。
Xモードをオフにした場合が、思ったよりも伸びなかったように感じます。パフォーマンスとバッテリー持ちのどちらにも寄らないバランスモードでしたが、思うよりバッテリー持ちの方に傾いてるのかもしれません。
SoC | Antutu | Geekbench | 3DMark | PCMark | ||
---|---|---|---|---|---|---|
RAM | Single | Multi | ||||
ROG Phone 8 Pro (X) | SD8 Gen3 16GB |
2199263 | 2299 | 7172 | 5234 | 22804 |
ROG Phone 8 Pro | SD8 Gen3 16GB |
1728920 | 1316 | 6474 | 4492 | 14206 |
Zenfone 10 | SD8 Gen2 16GB |
1619152 | 2033 | 5654 | 3732 | 19588 |
REDMAGIC 8 Pro | SD8 Gen2 12GB |
1565065 | 893 | 4647 | 3640 | 13282 |
Zenfone 9 | SD8+ Gen1 8GB |
1275791 | 1780 | 4527 | 2797 | 16989 |
- GeekbenchはCPUの性能を、3DMarkはグラフィック性能、PCMarkはWeb閲覧など基本的な作業に関する性能を測るベンチマークアプリです。
ディスプレイとパンチホール
ROG Phone 8シリーズで大きく変わったものの1つがフロントカメラです。これまでは上部ベゼル内にあったものがパンチホール型になりました。
ディスプレイを広げてベゼルを細くし、その分だけ小型軽量化できるというメリットはありますが、小さいとはいえ画面の一部を削ってしまうのでゲームをやる人には気になるポイントでしょう。
これについては、新機能として「ゲームの表示エリア」を「全画面」「片寄せ」「中央」の3つから選べるようになっています。(全てのゲームに適用させたり、ゲーム個別でも設定できます)
「片寄せ」は、前面カメラのある側に黒帯を表示します。ノッチやパンチホールのカメラが出始めた頃からこういった「前面カメラを隠す」ような機能はありましたね。
「中央」は、前面カメラとは逆側にも黒帯を表示して、画面が中央にバランスよく配置されます。こうすることで左右どちらにも疑似ベゼルが表示されます。
左右に黒帯を表示させれば、けっきょく表示面積は小さくなってしまうのですが、縦横比が変わるのでゲームによっては縦に広く表示されるかもしれません。また、左右の黒帯部分はタッチ無効なので誤タッチを防げます。
ただ、この機能もすべてのゲームで適用できるわけではなく、Armoury Crateで「ゲームの表示エリア」のアイコンが表示されてるゲームのみ適用できるようです。ブルアカは対象外だったのが残念。
AIを使ったゲーム向け機能
ここ最近のハイエンド帯のスマホはAIを活用した機能が増えてきてます。ROG Phone 8シリーズでもゲーム向けにAIを使った機能がいくつかあります。
AI Grabber
AI Grabberは、ゲーム中の画面から範囲を指定して、その中にあるテキストをAIで認識、それをコピーしたりウェブ検索できます。ゲーム内のテキストは通常はコピーできない(スクショ画像からGoogleレンズで認識…はできると思いますが)ですが、AI Grabberでコピーすればすぐにゲーム内の語句を調べたりそこから攻略情報を検索できたりします。
X Sense
これまはだベータ版の機能ですが、AI認識エンジンによって、ゲームごとにプレイを支援してくれます。例えば『原神』であれば、宝箱を開けたりアイテムを獲得するのを自動化してくれます。近づけばタップしないでも回収してくれるのでかなり楽です。
ただ、このあたりの機能はゲームによっては外部ツールの使用やチートツールのように判断されてしまう心配もあります。だからこそ「ベータ」なのかもしれませんが。
なお、AIに関係なく、これまでのROG Phoneシリーズで搭載されてきたゲーム向けの機能はもちろんROG Phone 8 Proでも利用可能です。
AniMe Vision
ROG Phone 8 Proの背面には「AniMe Vision」という、カスタマイズ可能な341個のミニLEDが仕込まれています。光ってない状態ではどこにそんな物があるのか全くわかりません。これがただ光るだけでなく実用的な使い方もあって面白いです。
光るシーンやその内容は設定からカスタマイズ可能です。もちろん、まったく光らせないことも。
着信や通知を知らせるだけでなく、カメラでタイマー撮影するときにはカウントダウンを表示できます。被写体の方から数字で確認できて便利ですね。
カメラ
ROG Phone 8 Proの背面カメラは50MP広角カメラ (F値1.9)、13MP超広角カメラ (F値2.2)、32MP望遠カメラ (F値2.4)のトリプルカメラです。
レビュー期間中に外に出ることがあまりなく、なかなか写真を撮れなかったので、唯一行った「静岡ホビーショー」での写真を載せておきます。
撮った写真をまとめてGoogleフォトにアップしてあるので、興味ある方はどうぞ。
ROG Phone 8 Proの良かったところイマイチなところ
ROG Phone 8 Proをしばらく使ってみて感じた良かったところイマイチなところをまとめます。
- 間違いないハイエンドのパフォーマンス
- おサイフケータイ対応
- ワイヤレス充電対応
- AIを活用した新しいゲーム向け機能
- パンチホールはやはり賛否分かれる
- これまでのROGデザインが好きだった人には残念なデザイン
ゲーミングスマホとしてのパフォーマンスの高さはもう言うまでもないですね。
やはり今回のROG Phone 8シリーズで一番良かったのは「おサイフケータイ」と「ワイヤレス充電」に対応したところです。この2つと、少しコンパクトになったことで普段使いしやすくなりました。最近のスマートフォンは本当に高額ですから、普段使い用とゲーム用とをまとめられるのは予算的に嬉しいところです。
ただ、普段使いできるように従来のシリーズから変更された点、例えば背面のデザインだったり前面カメラだったり、そういったところで不満に思う人もいるでしょう。ゲーミングスマホなんだからもっとゲームに特化してほしい、普段使い用の機能は邪魔なだけだ、という人の目には今回のROG Phone 8シリーズは厳しく映るでしょう。
まとめ
私も最初は「普通のスマホに寄ってしまったか、今までのROG PhoneとZenfoneの間のような位置になるのかな?」と思っていました。しかし実際に触ってみれば、普通のスマホに寄ったのではなく、ゲーミングスマホに普通のスマホの使い勝手の良さをプラスしたのだと理解しました。
今回のROG Phone 8シリーズは今後のROG Phoneの分岐点になる、そんな予感がします。
参考情報
本記事に記載された内容は記事公開時点のものであり、必ずしも最新の情報とは限りません。記事をご覧いただく際には、最新の情報を確認するようお願いいたします。
OREFOLDER編集長。
1979年静岡県清水市生まれ、現静岡市清水区在住。
様々な巡り合わせから、このサイト1本で生活してる氷河期世代の一人。ガジェットに限らず広く浅く様々なものに興味があります。
スマートフォンは2010年にXperia SO-01Bを買ったのが最初。同時にb-mobile U300で格安SIMも始めました。これまでに数百台のスマホを手にし、格安SIMも常時20種類以上契約しています。